夏の続編ラッシュが終わり、秋の新作が続く。果たして興業収入はどうだっただろうか。
 「バトル・ロワイヤルU」は若者が大挙、押しかけたが、前作に及ばず。「チャーリーズ・エンジェルU」は上昇。「ターミネーター3」は好調。注目の「マトリックス リローデッド」は前作を超え107億円を突破、9月5日まで公開される。また、「踊る大捜査線2」は実写の日本映画の最高記録を更新し、ロングランヒット中だ。
 この秋、公開作品で注目しているのが、「座頭市」。勝新太郎の不朽の名作「座頭市」がビートたけしでどう生まれ変わるがポイント。(水)
     
 
ビートたけしの「座頭市」

金髪でたけし流のスタイルを作る
(C)2003「座頭市」製作委員会
 北野武が監督、脚本、編集、主演とこなした「座頭市」が9月6日からピカデリーほかで公開される。
 “北野ブルー”と言われるように、北野監督は今までの作品に“ブルー”を多く使い、自分のカラーを定着させてきた。今回も冒頭のタイトルに“ブルー”を使い、作品への意欲を表している。
 暴力シーン一つとっても、見る者に痛みを感じさせ、嫌悪感を与えるまで徹底的に行う半面、自分が出演するシーンではどこかチャチャを入れた“遊び”が絡んでいた。今回も殺しのシーンはCGを使っているとはいえ、なまなましい。R指定となった。
 何といっても、勝新太郎の座頭市の役。誰が演じてもやりづらいだろう。それをひょうひょうとこなすように見せて、実は念入りに自分のカラーを前面に出している。一つは金髪、もう一つは時代劇にタップダンスを取り入れるなど。
 話は勧善懲悪の時代劇。表向きは善良な商人、実はお代官さまを手のひらで転がす悪党は、まじめな商人を夜討ちし、私腹をこやす。このまじめな商人の子供が復しゅうするが、ここぞという時に危うくなり、座頭市が助けに現れる。全盲なのに剣術にたけ、弱者を助ける正義の味方という姿が「座頭市」人気の理由だろう。
 物語はよくある話。これを特色づけるために、座頭市の強敵に浅野忠信を起用。さらに、16歳で大衆演劇の団長で看板女形の橘大五郎を登場させる。北野監督は若手を発掘するのがうまい。そして生かす。
 ただ、ラストで和太鼓に合わせ、着物と下駄でタップを踊るシーンは意外な組み合わせで新たな魅力を引き出してはいるが、「座頭市」本来のドラマ性、悪行の裁きの余韻を残したかというと、そこからは遠ざかった終わり方になったように思える。
 
     
     
 
女性のアクションスターを確立!…トゥームレイダー2

アクションのきれがアップしたアンジェリーナ・ジョリー
 前作はゲームソフトの映画版ということで話題になった。主人公の女性が鍛えられた肉体を駆使して、考古学者だった父親の遺志を受け継ぎ、父親の探していた“宝”を探しにいく物語だった。どちらかと言えば物語よりアクションに魅了された。
 今作も、主人公、ララ役のアンジェリーナ・ジョリーは、全編のほとんどを、きれ味とスピード感あるアクションで埋め尽くした。続編だが、1話完結。ララは一人のトレジャー・ハンターとして、今回の獲物“パンドラの箱”を手に入れるため、海中に沈んだ大神殿に潜入した。それは、営利目的でこの箱を探している科学者一味も狙っていた……。
 彼女の見せ場は多い。水上モーターボート、バイク、乗馬などをこなす。また、ロケ地もエーゲ海のサントリー二島、アフリカ、上海と飛び回る。パート3もあるという。監督は「スピード」のヤン・デ・ボン。1時間57分。(9/20〜名鉄東宝1ほか)

(タイトル)閉ざされた森(見出し)軍隊内の悪事を暴露するサスペンス(写真)ジョン・トラボルタ(右)とコニー・ニールセン
 アメリカ軍が密林で訓練中に起こった事件を解明していくサスペンス。軍曹(サミュエル・L・ジャクソン)が行方不明。生き残った兵士から事情を聞くが、口を閉ざすばかり。そこで、大佐は元軍隊にいたオズボーン(ジョン・トラボルタ)に事情聴取させた。実直な女性大尉(コニー・ニールセン)はその起用を不服に思っていた……。
 女性大尉が観客の目線になるだろう。大佐は手がかりになるメモを見て顔色を変え、そのうえで、オズボーンに声をかけた。このオズボーン自身、収賄容疑がかかっているという、うさん臭い男。それ以上に大佐の“裏の顔”がちらつく。何か隠ぺい要素があると思わせる。監督は、最後に「アッ」と言わせたいのだろうが、全容が分かるまでの序章が長すぎたため、もくろみははずれたように思える。最後に「チャン、チャン」と笑わせたいなら、もう少しポイントの分かる展開にしてほしいと思うのだが……。1時間38分。(9月中旬〜ピカデリーほか)
 
     
     
 
軍隊内の悪事を暴露するサスペンス…閉ざされた森

ジョン・トラボルタ(左)とコニー・ニールセン
 アメリカ軍が密林で訓練中に起こった事件を解明していくサスペンス。軍曹(サミュエル・L・ジャクソン)が行方不明。生き残った兵士から事情を聞くが、口を閉ざすばかり。そこで、大佐は元軍隊にいたオズボーン(ジョン・トラボルタ)に事情聴取させた。実直な女性大尉(コニー・ニールセン)はその起用を不服に思っていた……。
 女性大尉が観客の目線になるだろう。大佐は手がかりになるメモを見て顔色を変え、そのうえで、オズボーンに声をかけた。このオズボーン自身、収賄容疑がかかっているという、うさん臭い男。それ以上に大佐の“裏の顔”がちらつく。何か隠ぺい要素があると思わせる。監督は、最後に「アッ」と言わせたいのだろうが、全容が分かるまでの序章が長すぎたため、もくろみははずれたように思える。最後に「チャン、チャン」と笑わせたいなら、もう少しポイントの分かる展開にしてほしいと思うのだが……。1時間38分。(9月中旬〜ピカデリーほか)
 
     
     
 
「モーニング娘。」ら主演映画2本立て

「青春ばかちん料理塾」から、後藤真希(左)と武田鉄矢
(C)「青春ばかちん料理塾」「17才」製作委員会
 「モーニング娘。」を卒業した後藤真希が主演した「青春ばかちん料理塾」と現役モー娘の石川梨華と藤本美貴が共演する「17才 旅立ちのふたり」の2本立てが9月13日からイオンシネマ・ワンダーほかで公開される。どちらも高校生が主人公の青春物語。
 「青春ばかちん料理塾」は、女子高を退学して何するあてもなくブラブラしている瞳(後藤真希)が主人公。メル友(武田鉄矢)が料理学校へ行くというので、瞳も入学する。まさか、メル友が中年のおじさんだったとは……。コメディータッチだが、瞳が料理学校で年齢の違う人と接し、成長していくところが見どころ。監督は斎藤郁宏。
 また、「17才」は、里子に出され育った主人公の真衣子(石川梨華)が、十数年ぶりに父親と再会し、自分の歩む道を模索するドラマ。真衣子はどんな環境であっても、前向きに自分の将来を考える少女で、小料理屋で生計を立てる母親と暮らす同級生の理沙(藤本美貴)が、男にだらしない母親に反発する姿と好対照に描く。2人の共通点は寂しさ。どこかひかれ合う2人の友情も見どころ。監督は沢井信一郎。
 
     
     
 
“ヤミ”からの脱出劇…ドラゴンへッド

やっぱり笑顔がキュートな妻夫木聡
 映画「ウォーターボーイズ」で一躍スターの仲間入りをした妻夫木聡(22)の主演映画「ドラゴン・へッド」がピカデリーのほか、東宝系で公開される。全編ウズベキスタンで共演者の松田聖子の娘、SAYAKAと約2カ月間の撮影をしたことで話題となった。
 名古屋を訪れた妻夫木は「一体感を覚えた。映画っていいですね」。2年前に公開された「ウォーターボーイズ」では、ただ単に撮影を楽しんだようだが、ドラマ「すばらしい日々」でデビューし、今年は5年目。周囲に目が行き届き、撮影スタッフとのコンビネーションが図られたようだ。
 テル(妻夫木聡)とアコ(SAYAKA)、ノブオ(山田孝之)の3人の高校生は、修学旅行の帰り、突然の異常状態が起こり、乗っていた新幹線はトンネル内に閉じ込められた。この3人だけが一命を取り留める。同級生と先生らの死を直面し、脱出を試みるが、この異常事態にノブオが変容していく……。つまり、極限状態に陥った時、自分の精神状態が平常に保てるかどうかを問うていく。原作は望月峯太郎の人気漫画「ドラゴンへッド」。
 「原作は高校生の時に読んだ。好きな漫画です。映画化になるって聞いた時、『映画に出来るの?』と思った。映画化には、人間の“ヤミ”の世界が描かれているので、ひかれました。ただ、CGで埋めつくすのだったら、面白くないので、出来る限り、自分で演じようと思った」と話す。CGについては「CGと分かるとガクっとくる」と言いながら、今作については、実写とCGの境目がないと、技術面を賞賛する。
 スタッフの意気込みは半端ではない。ウズベキスタンに撮影の半年前に入り、新幹線からトンネルまで、荒廃した様子を作る。さらに、粉塵(じん)を巻き、日本全体が異常状態であるように見せる。テレビドラマ、映画で引っ張りだこの妻夫木もこれに圧倒され、灰巻きをスタッフに混じって行ったことも。
 「体験も経験もしたこともない極限状態を演じることに関しては、(このセットなので)すんなり感情移入できました」と。一番冷静で普通の人間の心理を表現しているが、次々と起こりうる人間の異常な行動をまか不思議と見るか、自分と置き換えるかで、この映画への感情移入は違ってくる。しかし、粉塵で街が瞬時に覆われるとは、リアリティーにかけるかも。
 
     
     
 
賛否両論の映像の羅列…偶然にも最悪な少年

「2人は天才」と褒めるグ監督。左から中島、市原、グ監督
 「題名の『偶然にも』ということから、必然的ではなく、だからポジティブになれる。そんな映画」と初めてメガホンを取ったグ・スーヨン監督は話す。
 在日韓国人二世のグ監督は2年前、在日韓国人の少年を主人公にした小説を書いた。小学生のころ、在日韓国人という理由でいじめられっ子だったカネシロ(市原隼人)は、万引き、盗撮をヘラヘラと罪の意識なくやってしまう高校生になった。そのカネシロが姉の自殺をきっかけに、一度も韓国に行ったことのない姉を韓国に行かせようと、友達を巻き込んで死んだ姉を車に乗せて、下関に向かう話。
 この小説が映画化された。グ監督はもともと、CMディレクター。数秒でインパクトある映像に臨む世界から2時間の映画の世界へ。
 「見る側の判断に委ねた。映像をただ投げかけた。そういう意味では映画の従来の撮り方と違う面も」と、あくまで自分のスタイルを映画に持ち込む。
 それにしても、理解に苦しむ映像の羅列。なぜ、カネシロの姉が自殺? なぜ、急に姉を下関へまで運ぶ? 
 主演の市原隼人は「自由に演技ができて、楽しくて楽しくて」と。カネシロそのままの市原がいる。笑みを絶やさず、手は頭、鼻に持っていく落ち着きのなさ。そして、映画初出演のミュージシャン、中島美嘉もテレビで見るクールな雰囲気で役柄の由美をこなし「普通の女の子と思う」と答える。由美は強迫性障害という病気を患う半面、普段は嫌な相手には足げりする少女。
 「軽いノリで作りました。何か心にひっかかってもらえれば」と話す監督。
 いじめ、万引き、恐喝、ドラッグ、密航などの話が要所要所の題材になっている。これをケセラセラって笑って見るかどうか。賛否両論というゆえんだろう。(9/13〜ピカデりーほか)
 
     
     
 
励まされる娯楽劇酒井法子初主演はホラー…呪怨2

酒井法子
 日本のホラーが注目されている。「リング」に続き、ハリウッドでリメークされる「呪怨」。原型となる「呪怨」は、すでに、ビデオで「呪怨」「呪怨2」が製作され、好評につき映画化へ。この人気の波に乗り、「呪怨」の撮影時には、この続編「呪怨2」が決まったという。主演は昨年、NHKテレビの大河ドラマ「利家とまつ」でねね役として好演した酒井法子がふんする。酒井の初主演映画でもあり、話題を集めている。
 夫が妻子を惨殺した家という設定で、リポートするうちに関係者がナゾの死を遂げたり、行方不明になるという怪奇現象が、一人ひとりの立場で描かれていく。すべてに関与するのが、主人公の京子(酒井法子)。テーマは母性という。妻の浮気から起こった惨殺劇だが、息子を巻き添えにしたことが、現世への恨みとなって、成仏できない心情が引き起こす。
 来名した酒井は「ホラー映画は小さな時、テレビで『悪魔の赤ちゃん』を見て以来、トラウマになって避けていたが、『リング』を見てから、ドラマ性があって、面白いと興味を持ち始めました」と、出演を決めた理由を語る。「妻の伽椰子を可哀そうな女性と思う。確かに伽椰子も(浮気して)悪いのだけど、悲しみが伝わって、つい抱きしめたい気持ちになる」とも。
 1カ月半、この作品に集中した酒井。「スイッチのオンとオフがはっきりしているから」と、極力CGを使わず、撮影現場はローテクで行ったというが、酒井は、幼い時のトラウマは消え、恐怖を作り上げる撮影現場も「やっていて、楽しかった」とほほ笑んで話していた。監督はハリウッド版も手がける清水崇。1時間32分。(上映中、シネプラザ4)
 
     
     
 
ジンワリ熱い青春映画…ロボコン

初出演の長澤まさみ(左)と古厩監督
 題名から人気テレビ「がんばれ!!ロボコン」と思った人は、くり姉と同世代でしょう。実は高専の生徒が出題されたテーマに従い、創意工夫したロボットを作って対戦する「ロボットコンテスト」の略称。
 主人公の里美(長澤まさみ)は、高専に入ったが授業が身に入らない生徒。里美は、担任(鈴木一真)のすすめで、設計の天才(小栗旬)とロボコンのデータ収集家(伊藤淳史)、きまぐれだが部品を作ればピカイチ(塚本高史)の3人と仲間になり、ロボコンに出場することになった……。
 来名した古厩智之監督は「『ロボコン』は勝つために機能重視でもいいし、お客さんに受けるメカを作ってもいいし、自己表現の場であるところに魅力を感じる」と話す。「里美をはじめ、主なメンバーはそれぞれ自分のことが嫌いなヤツばかりの集まり、その彼らが出場するために、仲間意識を持ち、(自分のことを)好きになっていくところに重点を置いた」とも。コンセプトが決まると、脚本は順調に進んだようだ。
 また、長澤も「初めから終わりまでの撮影は初めてでした。撮影を通して、みんながまとまっていくところが好き」と、撮影が楽しかった様子がうかがえる。里美の喜怒哀楽の表情が青春映画を熱血ではなく、サラリとジンワリ熱いものにしている。1時間58分。(9/13〜ヴァージンシネマズ・名古屋ベイシティほか)
 
     
     
 
「沙羅双樹」など21本を上映…あいち国際女性映画祭9月開催
 愛知県下唯一の国際映画祭で、特に女性監督の作品を中心に上映する「あいち国際女性映画祭2003」が9月3〜7日、ウィルあいち=名古屋市東区上堅杉町1=のほか、小牧市、西春日井郡師勝町、犬山市の4会場で開催される。今年で8回目。
 上映作品には、今年カンヌ国際映画祭で注目を浴びた、川瀬直美監督の「沙羅双樹」など日本の作品4本と韓国の新人、モ・ジウン監督の「パーフェクト・マッチ」など海外作品を13本、日本映画の名作では、小津安二郎監督の「東京の合唱」(女性弁士の活弁と楽団の演奏で上映)を4本を含め、合計21本がかかる。初めて、日本の作品にアニメ作品「もも子、かえるの歌がきこえるよ。」が選考された。主人公・力の双子の妹は知的障害者。彼女を中心に明るく暮らす家族愛が描かれている。
 今回で4回目となる、映像作家を目指す人のために行われる講座「ワークショップ」では、世界の短編アニメを上映する他、西島秀俊主演「リフレクション」を撮った王愛美監督に映画製作への道を語ってもらう。また、新たにNPOとの協働により「あいちのエコ・コミュニティづくりを語る映画会『1本の樹』『里山物語』」などが上映される。前売り券800円、当日券1000円。
 問い合わせは同映画祭事務局 Tel 052・962・2520へ。
 
     
     
 
「ぎふアジア映画祭」開催中
 アジア映画の秀作を8〜10月の3カ月にわたって上映する「ぎふアジア映画祭」が開催されている。10月31日まで。
 今年で25回目となるこの映画祭。岐阜市内の映画館でかかりにくい映画を国内外から集めた。上映作品は次の通り。
 8月31日14時=岐阜市民会館で「猟奇的な彼女」▽9月8、9日19時=シアターぺルルで「囁く砂」▽同18日19時=シネックス1で「遥かなるクルディスタン」▽同26日19時=岐阜市文化センターで「活きる」▽10月3日19時=同センターで「酔っぱらった馬の時間」▽同7日18時半=同センターで「チベットの女 イシの生涯」▽同13日14時=岐阜市民会館で「さらば、わが愛 覇王別姫」▽同17日19時=岐阜市文化センターで「モンスーン・ウェディング」▽同31日19時=同センターで「ハッシュ!」
 この他、チべット文化交流会の一環として、岐阜市文化センターで10月7日、「チベットの女 イシの生涯」を上映後、20時半からチベット文化研究者のぺマ・ギャルポさんの講演が行われる。入場料は無料。
 映画観賞券は、1回券800円、3回券2100円、9回券4500円。
 問い合わせは岐阜市民会館 Tel 058・262・8111へ。